VX-7(VX-8)を用いたポータブルAPRS/I-Gate

2015-09-30(水)
アマチュア無線の電波が届く範囲にデジピータもI-Gateも無いが携帯電話は通じるような場所で、スマートフォンのAPRSアプリを用いず、あくまでアマチュア無線でAPRSを運用するためにポータブルAPRS/I-Gateを作った。
本ページはその覚書である。

機材一式

VX-7とマイクアダプタ VX-7本体とアンテナ、マイクアダプタを準備する。
マイクアダプタはヤエス純正のCT-91でも、ICOMのOPC-2132でもよいが、ケーブルが二股のCT-91よりも1本のOPC-2132のほうが見た目が良い。

通信に用いる周波数は本I-Gateの趣旨から標準(144.66MHz)以外の広帯域データ帯で行う。
スマートフォンで撮影した写真なので写りが悪いことはご容赦願う。

VX-8Dを使用するなら、ヤエスのCT-131も必要だ。この場合、VX-8D→CT-131→CT-91(またはOPC-2132)の順に接続する。
または、CT-M11で後記するDIF-3Lと直結するケーブルを作成することもできるだろう(結線はVX-8Dのマニュアル「パケット通信に使う」と、DIF-3Lのマニュアル「4.コネクターの説明 DATAコネクタ」の章を参照)。
なお、VX-8Dに内蔵されているAPRS機能は一切使用しない。2016/2/10追記

旧スプリアス規格のVX-7でも、JARDのスプリアス確認保証を受けることで使い続けられる。
このほか、メーカによって新スプリアス規格を満たしていることが確認された無線機は総合通信局への届出により使用し続けることもできる。
なお、この届出はJARDのスプリアス確認保証の届出と一緒には行えないので、JARDと総合通信局のそれぞれに届出を行わなければならない。
蛇足であるが、私のIC-7000Mの延命は、こちらのブログがなければ無理であった。2017/2/15追記
VX-7とパソコンの接続ケーブル一式

無線機とPCを接続するために、テクニカルシャック社のDIF-3LとDATAケーブル、RSケーブルが必要である。
DATAケーブルはテクニカルシャック社にVX-7用として注文したところ2520円であった(2011年12月の価格)。
RSケーブルはここを参考に自作した(DINコネクタの図がコネクタ面なのか後ろから見た図なのかは失念してしまった)。
DATAケーブルやRSケーブルは、コネクタ類を常備しているか、または送料をかけずに入手できるような場合を除き購入したほうが安上がりだろう。

この構成の通信速度は1200[bps]である。9600[bps]はデコードできず通信できなかった。

USBオーディオ変換ケーブル(1本)、およびこれとDIF-3Lをつなぐ3.5mmステレオミニケーブル(2本)。
オーディオ変換ケーブルにはバッファロー(BSHSAU01BK)を使用したが他の製品でも問題ないだろう。
さらにステレオミニケーブルはモノラルケーブルでも問題ないだろう。
(短いモノラルケーブルが無かったので短いステレオケーブルを使用した)

RS232C(シリアル9ピン)USB 変換ケーブル×1本。
COREGAのCG-USBRS232を使用した。ケーブルによってはPTTの制御を行えない物があるが、購入し使ってみないことにはわからない。なお、CG-USBRS232はPTTの制御を行えた。
使用されるパソコンのOSに対応した物を選択しよう。

2ポートUSBハブ(1個)。
USBオーディオ変換ケーブルとRS232C-USB変換ケーブルを接続するので、最低でも2ポート必要である。
邪魔にならないように2ポートハブを選択したが、ポート数がこれより多い分には問題ない。


ACER IConia W4 パソコン(1台)。「ポータブル」にするためタブレットPC(Iconia W4)を使用した。
写真はACER社のサイトから無断借用した。

OSはWindows10(32bit)で、AGWPEとUI-View32をインストールした。
さらに、このパソコンは何らかの方法でインターネットに接続できなければならない。

Win10 Creators Updateを適用したところパソコンが起動しなくなってしまったのでWin8.1に戻すことにした(2017/6/28追記)。
Win8.1にWin10 Creators Updateを適用したところAGWPEもUI-View32も正常に動作するようになった(2017/7/6追記)。
Win10で動作中。理由は不明であるが上記のUSB機器を接続した状態でタブレットPCを起動しないと、サウンドカードは認識されるが音声の入出力を行えなかった(2019/4/26追記)。

運用上の注意点として、タブレットPCで動くWindows8.1は、画面をOFFにする=サスペンドとなりUI-View32も停止してしまうので、InstantGoといわれる機能を無効にして、サスペンドせずに画面だけをOFFにできるようにしなくてはならない。
SHARP SH90B スマートフォン(1台)。OSはAndroidでもiOSでもよい。ここではSH90Bを使用した。
写真はSHARP社のサイトから無断借用した。

タブレットPCをインターネットに接続するためにスマートフォン(のデザリング機能)を利用しただけなので、スマートフォンではなくLTEモバイルルータでも良いだろう。
また、パソコンを有線でインターネットに接続するならスマートフォンは不要である。
KENWOOD TH-D72 I-Gateだけでは確認を行いにくいので、確実にAPRSが動作する機器を用意するのが良いだろう。
私はKenwoodのTH-D72を使用した。
写真はKENWOOD社のサイトから無断借用した。

UI-View32の設定

次はUI-View32の設定だ。基本的な設定は、先にリンクした内容を参照してほしい。ここでは、私がI-Gateとしてどのような設定を行ったのかを記す。

設定画面 説明
UI-View32 IGATE.INI設定#1 本I-Gateで直接受信した信号だけをローカルとして認識するように『Max digits for local』は0にする。
UI-View32 IGATE.INI設定#2 2つの項目とも、チェックOFFでよいだろう。
UI-View32でNAVITRAのデータを扱うときに指定するらしい。
UI-View32 IGATE.INI設定#3 ここは指定無しでよい。
機能の詳細は理解していないが、不具合があるらしい。
UI-View32 IGATE.INI設定#4 APRSサーバからRFへ本サーバがGateするパケット数の上限を指定する。
上から順に1,2,3分毎の上限値を示し、左列が非ローカル局宛て、右列がローカル局宛である。
本I-Gateは、後記する『APRS Server Setup』で自局以外の情報をAPRSサーバから取得しない設定を行うので左側(非ローカル局宛)は任意の値でよいだろう。
(と、いうか初期値から変更していない)
UI-View32 Comms Setup AGWPEを使用するので、『Host mode』はAGWPEを選択する。
UI-View32 Station Setup 本I-Gateは受信したパケットをAPRSへ流すことを目的にしたポータブル仕様なので、ビーコンを発しない設定とした。
ただし、Callsignは正規の値を、LatitudeやLongitudeは自宅以外の場所を指定した。
Digipeater Setup デジピータにはしないので、『Enable digi』はチェックOFFにする。
その他は初期値から変更していない。
UI-View32 APRS Compatibility setup 初期値のままでよいだろう。
UI-View32 Miscellaneous Setup 概ねUI-View32の画面表示に関する設定である。
ポータブルI-Gateとして用いるにはいくつか不要そうな項目もあるが、ひとまず左の図の設定にした。
UI-View32 APRS Server Setup Serverの追加方法は先のサイトを参考にしてほしい。
(4.Setup->APRS Server Setup APRSサーバー・IGATE用の設定)

この項目の注意点はポート番号を『14580』にすることである。
このポート番号を指定することでAPRSサーバに『Extra log-on text』で指定したフィルターを効かすことができる。

『APRS server log on required』はチェックONにする。

『Validation number』には、あなたが得たValidation numberを入力しなくてはならない。

『Enable auto reconnect』がONのときは、何らかの理由でAPRSサーバとの通信路が切断されたときに自動的に再接続を試みる動作を行う。

『Extra log-on text』には『filter p/』に続けてあなたのコールサインを指定する。
たとえばコールサインがJX1XXXなら『filter p/JX1XXX』と指定する。
この指定を行うとAPRSサーバは、JX1XXXに関する情報だけをUI-View32へ送信するようになる(より正確にはJX1XXXから始まるコールサインを意味する。したがってJX1XXXのほかにJX1XXX-9等も該当する)。

『Open the gateway』と『Gate local messages』の両方をチェックONし、RFとAPRSサーバの双方向通信を行えるようする。

『Max silence』に指定した時間の間、APRSサーバからデータを受信しなかったときにはAPRSサーバから強制切断する。0を指定すると切断しない。
APRSサーバとの接続が何らかの要因で不安定な場合は、0以外を指定し併せて『Enable auto reconnect』をONにするのが良いと思う。
UI-View32 Exclude/Include Lits APRSサーバやRFから受信したパケットをUI-View32で表示するかしないか設定するが、本ポータブルI-Gateは最初に記したとおり標準と異なる周波数を用いて自身のパケットのみを送受するので特に設定事項はない。

設定は以上だ。
あとは周波数を合わせた無線機・ケーブル・PCを接続しAGWPEとUI-View32を起動する。
そしてAPRSサーバに接続しTH-D72からビーコンを発する。そして、たとえばこのようなサイトに表示されるのを確認するだけだ(APRSサーバに接続できないときは、数回か接続操作を繰り返すとよい)。
参考